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金の指輪
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この映画館内で一番暗い場所はメインスクリーンの席の一番後ろの壁だ。 顔が見えない暗さがある。壁の前にはたくさんのハッテン積極派がひしめき合い、 そこに立つといろんな方向から手が延びてきて尻や股間を触られる。 誰の手か分からない無責任なそれらはやりたい放題で、 気をつけないとあっという間に誰かの手がパンツの中に入ってくる。
そんな無節操地帯の劇場最後部にスーツにネクタイというカリフォルニアでは目立つ格好、 特にティールームシアターでは非常に浮いた姿の紳士が立っていた。 そのきりっとした服装を両側に立つ男らが早くも乱そうとしている。 白いワイシャツのボタンはネクタイ部分を残したままほとんど外されてしまい 紳士の胸がすっかりはだけられている。 両方の乳首を指でつままれたまま、もうひとりの男にベルトを外されようとしているのに 紳士はされるがまま全く抵抗せず両側の男達にもてあそばれている。 ズボンが下ろされ白い大きなブリーフ姿にされたとき、 僕はその家庭的な下着がこの背広の紳士にとても合っているように見えた。
すぐにブリーフもずらされズボンと共に足首まで下ろされた。 ふたりの男はこのあられもない格好の紳士を前後にはさみ、 できる限りの快楽を与えている。 紳士は無言のままふたりがどんなことをしようとも動じず身をまかせている。 ひとりが紳士のシャツをたくし上げ乳首に吸い付いた。とたんに紳士の声が漏れる。 ふたりの男の同時の攻めにも姿勢を崩そうとしないこの紳士は きちんとした身なりや振る舞いを常としているのであろう。 しかし今このシアターの暗がりでふたりの見ず知らずの男に凌辱されている。 紳士は両脇から足首にかけてすべて剥かれ裸だった。 まるでふたりの男達にこの暗闇に連れ込まれ犯されているように見える。 犯されているには違いないが少し違うのは被害者共々結託しているということ、 全員が合意して痴漢行為が行われているのだ。 誰かに誘われたりうながされたりして合致すればハッテンするだろうし、 イヤなら避ければいいだけの話だ。 どちらにしても意思表示をしないといつか必ず誰かに犯される。 それを望むのであればこの紳士のように相手に任せてしまうのが一番いい。 全く知らない他人の男達にどんな目に会わされるかわからない捨て身の淫乱セックスを求め、 彼はそこにいる。
この暗がりでの3人の男同士による艶宴も、紳士が絶頂を迎えると共にお開きとなる。 映画のスクリーンが一瞬明るく彼を照らした。 このシアターではやはり浮いて見える背広姿だが、それ以上に僕の目を引いたのは 紳士の金の結婚指輪だった。
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